いぬのいる島

日々、散歩しては迷っている

4月7日(日) 残念ハンバーガー 映画『プロスペローの本』

 

今日も朝から仕事だった。昨日に続いて今日も天気がとてもいい。まだ眠っているパートナーを起こさないように静かに起きて、顔を洗って支度をする。コーヒーを淹れて、冷凍保存していたパンをこんがりと焼いて朝食にする。

 

天気がいいので、今年にはいってはじめて日焼け止めを塗った。冬でも塗ったほうがいいのはわかっているのだが、ついつい面倒で塗るのをサボってしまう。日焼けするだけで癌のリスクが上がるという点を考えると、数年後か数十年後には塗らない選択肢はなくなるのだろうな。

 

 

仕事は、昨日に比べると自分のペースで業務を行えてスムーズに終えることができた。今日は仕事終わりでパートナーと待ち合わせの約束をしていた。少し早めの夕食に行こうと彼女を誘っていたのだ。

 

わたしが行きたかったのは「シェイクシャック」だ。ハンバーガーチェーン店である。わたしは一度も行ったことがなかった。しかし、ネットで入ってくる情報によるとなかなか美味しいらしいということで、一度行ってみたかったのだった。

 

たしかコロナの時期だったと思うが、わたしの職場の近くに大きなシェイクシャックができたので、いつでも行くことができたわけだが、なんとなく行く機会を作れなかった。この日はわたしの職場の近くで彼女を待ち合わせてシェイクシャックへ。彼女を待つ間に日記を書いていた。

 

 

春の週末、四条通は人が多い。もしかしたらシェイクシャックの席が空いていない可能性もあるので、期待もほどほどに店に向かった。意外にも空いている。まだ17時台だったので、このあと増えるのかもしれない。

 

注文する前に店頭のメニューでどれにしようか迷うが、まったく情報がないので、レジの店員さんに聞いてみることにした。素直に「初来店です」と伝えると、最初はオーソドックスな「シャックバーガー」がおすすめだと言われたので、それを頼むことにする。同じく初めてシェイクシャックに来たパートナーは「スモークシャック」というベーコンが入ったバーガーにした。ビールがあったら飲もうかとも思ったが、生ビールが18オンス≒約550mlで850円という値段で、さすがにこれは高い。ソフトドリンクにDr.ペッパーを注文してフライドポテトも追加した。円安止まらないなー。

 

料理の準備ができたらブザーが鳴るというタグを渡され、とてもワクワクして待つ。パートナーと「マクドナルド」や「バーガーキング」などのチェーン店や個人のハンバーガーとどう違うのか、想像の話で盛り上がっていると、ブザーが鳴った。

 

金属のトレーに載って「シャックバーガー」がやってきた。バーガーキングのワッパーに比べると、ちょっと小さい。なにはともあれ一口齧りつく。……美味しくない。バンズはしっとりのレベルをこえて、なんだかじっとりと濡れているし、パティはボソボソとして肉の風味もほとんどない。ソースも味がはっきりしないし、正直期待はずれだった。もしかしたらわたしがこの時食べたこのバーガーがそうでもないだけで、パートナーのスモークシャックは美味しいのかもしれんと一口もらったのだが、それもあまり美味しくなかった。

 

この時は期待していたのだが……

 

期待しすぎたのだろうか。けっこうショックが大きかった。パートナーとの会話の内容も一転して、「わたしたちのハンバーガーが偶然ハズレなだけでは?」という考察を始めることになった。実際、このお店ができた当時は行列ができていたのだ。そうでもしないと納得ができないではないか。

 

こっそり周りのお客さんのハンバーガーを盗み見てみると、ハンバーガーが湯気を立てていた。わたしたちのハンバーガーはぬるかったし、もしかしたら調理をしてから時間が経ったものだったのかもしれない。どうりでパンが濡れそぼっていたわけだ、と2人でなんとか思い込む努力をした。まあ、それはそれでそんな時間のおいた商品を提供してほしくはないのだが。

 

仮に偶然わたしたちがハズレを引いただけだとしても、わたしはもう2度と来ることはないだろう。かなり楽しみにしていたので残念である。パートナーと暗い顔でお店を出て、このままでは帰れないわたしは映画を観にいくことにした。彼女はもう帰るそうだ。

 

ついこの間、接客業は難しいと日記に書いたばかりだが、食事を提供する店というのも難しい。わたしが勝手に期待していたのも悪いが、ひどく落ち込んでしまった。わたしには合わなかったが、これが好きな人もいるのだろう。そんなハンバーガーショップがあるということがわかっただけでもよしとしよう。運も相性が悪かったのだ。

 

 

京都シネマへ行き、【ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師】の日替わり上映を見ることにする。今日はシェイク・スピア原作の『プロスペローの本』だ。

 


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「英国式庭園殺人事件」「コックと泥棒、その妻と愛人」などで知られるイギリスの名匠ピーター・グリーナウェイが監督・脚本を手がけ、ウィリアム・シェイクスピア最後の戯曲「テンペスト」を原案に独創的な映像美で描いた復讐劇。

かつてミラノ大公だったプロスペローは、12年前にナポリ王アロンゾーと共謀した弟アントーニオに国を追放され、娘ミランダとともに絶海の孤島で暮らしていた。アロンゾーへの復讐を片時も忘れないプロスペローは、友人ゴンザーローから譲り受けた24冊の魔法の本を長い歳月をかけて読み解き、強大な力を手に入れる。やがてプロスペローは島の怪物キャリバンや妖精エアリエルを操り、魔法の力で復讐を遂行していく。

参照元:映画.com)

 

 

最初は笑っちゃうほどわけがわからなかった。わたしだけが、作品を観る上でなにか大事な設定を理解していないのではないかという疑念に苛まれた。だが観ていくうちにだんだんとその独特の演出にはある理屈が通っていることに気がついて、なんとかストーリーがわかってきた。

 

しかし、変な映画だった。基本出演者が全裸だったとかも変なのだが、いわゆる映画的な表現の枠からの逸脱が激しい。言うならば歌舞伎やオペラ、バレエなんかに近かったように思う。しかし、あくまでも映画であり、映像でしかできない表現がしっかり出てくる。いままで色々と映画を見てきたけど、その中でも指折りに変な映画だと思う。

 

しかも、この変な表現にロジックがあるので、見ているうちにだんだん意味がわかるのが面白かった。この前「キュビスム展」に行ったときと同じ種類の現象だと思う。一見すると、ヘンテコで意味がわからないのだが、理屈が通っているので、見ているうちにその独特の言語を知らず知らずのうちに体得してしまう感覚だ。これは唯一無二の体験だった。映像の耽美さなんかもさることながら、この感覚を映画館で体験できてよかった。でも本当に変な映画!(褒め言葉)

 

映画館を出てからSpotWORKのマップを開く。さすが日曜日の夜、そこそこ作業依頼がでていた。京都駅方面へ向かい、コンビニで1個、ヨドバシカメラで4個のバッテリーを回収した。まだ体力が余っていたので、いま個人的にブームがきているダンスの練習をすることにして、梅小路公園へ行った。

 

梅小路公園は京都駅からも近い公園で、隣に京都水族館が併設されていて芝生もある。あまり夜に行ったことはなかったけど、この時間なら人も少ないだろうと思っていた。しかし実際には、そこらじゅうのベンチに人が座っていた。外も暖かく、夜桜も見たいだろうし、これはわたしの読みが甘かった。

 

しかし、人の目を気にしてストリートダンスができるか。世間の目に負けずに逆立ちとかバク転の練習なんかをYoutubeを見ながらやってみる。当然だけどまったくできない。わたしの体はこんなに重かったのだ。あまりに自分の頭で思い描いた動きができないのが面白くて笑ってしまう。

 

そんなふうに夜の公園でのたうち回っていたのだが、パートナーから連絡が入った。どうやら自転車のメンテナンスがうまくいっていないらしく、手伝ってほしいとのこと。ちょっと動いてすぐに疲れ果てていたのでこれをきっかけに家に帰ることにする。しかし、ちょっと運動をしたせいでお腹が減ったのでコンビニでポテトサラダを買った。

 

家に着いてパートナーに聞いて問題の箇所を見てみると、動かさなくてもいい部品を動かそうとしていた。だから実際はわたしが一緒にメンテナンスする必要はなかった。まあ、問題が解決したならそれでいい。ポテトサラダを食べながらNetflixで動画を見て、ちょっとゆっくりしてから1時過ぎに就寝。