いぬのいる島

日々、散歩しては迷っている

2月18日(月) ご挨拶と「日日是好日」 『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』

 

朝は6時前には目が覚めてしまって、そこからなんとかもう一度眠ろうとしたが、緊張してどうしても無理だった。8時くらいまでは目を瞑ってひたすら考えないようにしてみたが、眠りにつくことはできず諦めてベッドを出た。

 

起きてコーヒーを淹れて飲む。そして昨日の日記を書く。昨日は『ボーはおそれている』を見たことがわたしの中ではあまりに大きな事件だったせいで、書くのに時間がかかった。気がつくと書き始めて2時間近く経っていた。途中でパートナーも起き出して、ふたりでコーヒーを飲む。テレビでは「サンデージャポン」が流れており、取り上げられているトピックスごとにとりとめもない意見をふたりで喋り、テレビにむかってツッコミを入れる。

 

 

11時半ごろ日記を書き終えて、支度を始めた。今日は普段着ないスーツを着ることに決めていた。顔を洗って髪を整え、髭を剃り、鼻毛が出ていないかまでチェックする。自分の顔がすこしこわばっているのを感じる。

 

スーツを着るのは久しぶりだ。今日着たのは細身のストライプ入りのブルースーツ。かなり細身のつくりなのでわたし自身が細いタイミングでないと着ることができない(わたしは簡単に太ったら痩せたらする)。幸いいまのわたしは着ることができた。明るいブラウンのガンクラブチェックのネクタイを合わせて、ベストも着る。

 

パートナーは「ミッキーのアップリケのついたスウェットにしようかな」などと冗談めかして言っていたが、結局シンプルな黒のニットにオレンジのロングスカートを合わせることにしたようだった。

 

窓を開けると外は曇ってはいるものの季節外れに暖かくて、すこし服装に迷ったが、コートは着ていかないことにした。一応、いつでも補充できるように、鞄のなかにはバッテリーも入れておく。

 

 

友人のYさんに事前に連絡をしており、Yさんの働く二条のチーズケーキ店にケーキを買いにいく。今日は電車移動で、気候も春のようなので歩いてお店まで向かう。気候はよくても、緊張はさらに高まっていて頭が回らない。よく歩いている道だというのにわたしは混乱して、「この通りってここに繋がっているんだっけ?」と話しながら歩いた。

 

お店に到着して、前もって伝えておいた個数のケーキを注文し、さらに追加でクッキー缶も購入する。Yさんは、わたしの珍しいスーツ姿を写真に撮って、笑って送り出してくれた。週末の忙しい時間帯にお店にお邪魔して申し訳ないが、元気づけられた。ありがたい。お願いしてよかった。

 

今日は京都マラソンの日で、走り終えた人々の帰りの時間が重なったので、ランニングシューズにジャージという格好のランナーたちの中でスーツ姿の自分が浮いているような気がする。誰もわたしのことなど気にしていないのだけど、普段スーツなんて着慣れないから。ただ車内での、ランナーのみなさんの満足げな顔が印象的だった。

 

地下鉄を乗り継いで、駅を出る。体はこわばり、緊張と高揚感が体と頭を支配していく。ついにこの日が来たのだというおそれと期待。目的地が近づく。彼女は「ピンポンって押すもの?自分家のピンポン鳴らしたことないわ」と言いながら、結局玄関チャイムを押したが、押すか押さないかのタイミングで家の中から彼女のお母さんが出てきた。ご挨拶をしておうちにお邪魔する。

 

畳の部屋に通され、今は外出中だというパートナーのお父さんの帰りを待つことにする。洗面所で手を洗って、座布団に座っているとすぐにお父さんが帰宅した。わたしを見て、「そんな改まった格好して」と笑っていたが「けじめですから」と震える声で答える。とりあえず座り座りと着席を促された。

 

そう、わたしは今日パートナーのご両親に、結婚のご挨拶に伺ったのです。

 

 

 

17時前にパートナーのご実家を出た。雲間から差しこむすこし傾いてきた陽の光と、気温の下がった風が顔に当たって気持ちいい。安心感とまだ解けない緊張が混ざり合って、すこし興奮しているのが自分でもわかった。うれしくてパートナーと手をつないだ。「最初からいままで、顔から血の気引いてたよ」と言って彼女は笑った。

 

 

その足で二条の商業施設へ向かう。今日はお昼も食べていなかったので、お腹の虫をおさえるために何か食べたかった。しかし時間に余裕はない。急いで食べられるものを探してケンタッキーへ。この後、昨日のうちに予約しておいた『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』を観るのだ。混雑するケンタッキーの、一番奥のテーブル席でポテトをつまむ。食べながらパートナーの顔を見ていた。

 

 

劇場ロビーは本日開催の「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」のライブビューイングのお客さんであろうか、「リトルトゥース」たちで人が多かった。予約済みチケットを発券し、来場者特典の単行本33.5巻を受け取って中へ。『劇場版ハイキュー!!』の上映開始を待って座っているお客さんたちは10代〜20代くらいの若い人たちが中心だった。

 

 

『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』、とてもよかった。というか泣いた。スーツのおじさんなのに人目も憚らず泣いた。パートナーもはじめから泣き通しだった。泣ける=いい映画というわけではないが、ファンはこの出来の劇場版を観たら嬉し泣くよなあ。昨日アニメを復習しておいてよかった。作画はもちろん、演出、構成、音楽どれも凄まじく高クオリティだった。役者さんの演技も凄まじい。もう一回観たい。『ボーはおそれている』ももう一回観たいけど。

 

2日連続で、いい映画を見た幸福感に包まれて劇場を出れるというのは、なんて幸運なのだろう。

 

そのまま帰り道にある沖縄居酒屋に入る。はじめて入ったお店だったけど、雰囲気もよくて、何を食べても美味しくて、「今日がいままでの人生最良の日かも」と話をしたら笑われた。食事中はきょうのご挨拶の話もそこそこに、『劇場版ハイキュー!!』の話ばかりしていた。長く一緒にいる相手だが、最初のデートもアニメ映画を見にいった。そして、帰り道にも同じように作品の話ばかりしていたのだった。今日のことも覚えておこう。

 

お店を出てマップを開くと、帰り道の途中にバッテリー回収依頼4個という大漁スポットがあったので、しっかり回収。今日の補充のノルマ5個は達成できていないが、そんなことはもうどうでもよかった。明日やろう。

 

家に帰って、テレビを見て、シャワーを浴びて、少し早めに就寝。

長い1日が終わった。「日日是好日」が今日からは生活の目標である。

 

そして今日は間違いなく「好日」であった。