いぬのいる島

日々、散歩しては迷っている

2月17日(土) 『ボーはおそれいてる』鑑賞 アリ・アスター監督と同時代に生きているという幸福

 

昨日すこし遅くまで飲み歩いていたのもあって、朝は9時過ぎに起床。今日は休みなのでゆっくりしようとコーヒーを淹れ飲んでいた。ふと、マップを開くとあちこちにバッテリー回収依頼のマークが並んでいる!急いで支度をしていると、パートナーが起き出してきた。彼女は朝食にパンを焼き、コタツに入って食べていた。

 

西院のコンビニで4個、三条商店街のコンビニと二条駅近くのソフトバンクショップで1個ずつの計6個のバッテリーを回収し、その足でスギ薬局に3個補充する。ビバ週末。近所でこんなに回収依頼が入ることはめったにないので、ホクホク気分だ。運動のことは気にしない。これが楽しい。

 

今日は2月にしては気温が高く、街には人がたくさん歩いていた。三条商店街では、ランチタイムなこともあり若い人たちがイタリア料理店の前に列を作っていたし、補充に訪れたスギ薬局ではレジの前に長い列ができていた。

 

家に帰って、朝食兼昼食にうどんを作って食べる。パートナーに三条商店街に列を作っていた店があったことを話すと、「そこ前に一緒に行ったとこだよ」とのこと。

 

Googleマップで調べてみると、たしかに行ったことのあるお店だ。以前、彼女とわたしと、もうひとり友人のYさんと三条商店街でご飯を食べようとした際に、目当てのお店がいっぱいで、飛び込みで入れてくれたお店だ。驚いたが、たしかに何を食べても美味しくて、お店のかたも優しく、いいお店だったのでふたりで納得した。当時は「オープンしたばかり」と言っていたと思うが(うろ覚え)、いいお店は評価されるし、お客さんが心配しなくたって人気になるのだ。

 

話は変わって、午後。わたしは映画を見る予定があった。アリ・アスター監督の最新作『ボーはおそれている』である。

 


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鬼才・奇才・天才と言われ、世界的な評価を得ているアリ・アスター監督だが、わたしも最も好きな映画監督のひとりであり、過去作も短編作品を含めて見てきた。どの作品をとっても最高で、前作の『ミッドサマー』は日本公開時に映画館で5回鑑賞し、周囲の友人たちにも無理やり観に行かせる奇行を繰り返してすごく迷惑がられた。

 

わたし個人の「いい映画」というものの評価基準の、もっとも大切な位置に「一度観てしまうと、二度と見る前の自分には戻れなくなる」というものがある。基準を決めたというよりは、映画を見ているうちに自然にできあがっていたものであり、わたしが楽しいと思えるような映画はどうやらこの基準を満たす作品らしいのだ。

 

「映画を観た衝撃で混乱し、それまでの自分の価値観が完全に崩壊。足元から世界が崩れゆくような感覚に襲われ、茫然自失の状態になった挙句、映画館を出たあと失踪、そして行方不明になる……」。これがわたしの最高の映画体験というわけである。

 

上で書いたことはすこし言い過ぎだが、アリ・アスター監督の映画は毎回この評価基準を上回ってきて、わたしに映画を見る喜びを体験させてくれる。

 

だからこそ、今回もめいっぱいの期待をしながら同時に不安だった。おもしろくなかったらどうしよう……。しかし、そんな心配はアリ・アスター監督にとってはなんの関係もない。彼はそんな心配とは全然関係ないところを歩き続けている。

 

最高の作品だった。大傑作だ。見ている間ずっと幸福感に包まれていた。映画ってこんなに自由でいいんだ、こんなにおもしろいんだと、いままで映画を観ていてよかったと喜びで胸がいっぱいになった。しかも、万人にはおすすめできない!最高である。ありがとうアリ・アスター監督。一緒の時代に生き、新作を作ってくれてありがとう。

 

みんなも映画『ボーはおそれている』を観てくれ。観た人のなかにはきっとブチ切れたり、呆れ返る人もいると思う。わたしも見ている最中ずっと困惑しながら、笑っていた。感情が行方不明だった。それでいいんだ。それがいいんだ。

 

TOHOシネマズ二条のお昼の回を、プレミアシアター上映で鑑賞したのだが、座席は満席近く埋まっていた。映画が終わり場内が明るくなると、どうやら他のお客さんたちも困惑しているのが見てとれた。娘さんと観にきたお父さんだろうか、となりの若い女性にぎこちない笑顔で微笑みかけながら固まっていた。一方、娘さん?は真顔で正面の一点を見つめていた。最前列で見ていた大学生くらいの女の子ふたりは「こんな作品の考察とか馬鹿みたい!」と笑顔で言い放っていた。わたしのとなりの席の男性は帰り支度もせず、終わってからまったく身動きしなかった。あの人は帰れただろうか。失踪したりしていないだろうか。

 

わたしも劇場のロビーで固まっていた。「ママ、きがへんになりそうです。」

 

パンフレットももちろん購入。今回も映画パンフ界では知らない者のいない大島依提亜氏デザインで、素敵。

 

『ボーはおそれている』大島依提亜デザインのパンフレット



帰宅してパートナーに『ボーはおそれている』がいかにいい作品だったかを熱弁する。彼女はめんどくさそうにわたしの話を聞きながら書類の整理をしていた。映画パンフレットを一読して、わたしも部屋に掃除機をかけることにする。

 

掃除の間も映画の余韻に浸っていた。しかし、2024年はまだ1ヶ月ちょっとしか経っていないというのに、ここまでわたしが観られた映画だけでも『ビヨンド・ユートピア 脱北』、『哀れなるものたち』、『瞳をとじて』、『ボーはおそれている』と、傑作が多い。すごいぞ2024年。

 

 

夕飯は西院にあるジンギスカン居酒屋の「ラム太郎」へ。このお店は家の近くにあるのだが、その名前が気になっていて、一度は行ってみようと話をしていたのだった。ラム太郎って。センス最高やん。

 

ラム太郎外観

ジンギスカンも美味しかったのだが、なにより驚いたのは卓上のセルフ飲み放題だ。残念ながら土曜日はやっていなかったのだが、平日と日曜日は60分飲み放題で卓上のサーバーでチューハイが500円だという。すごい。

 

ラム太郎の卓上セルフ酎ハイサーバー

 

食事をしながら、パートナーから「感想はもういい。わたしは観ないから『ボーはおそれている』のあらすじを聞かせて」と言われたので、一応説明することにする。ずっと喋っていたが、話し終わったら彼女は食欲を失っていた。まあこうなるよな。

 

帰宅してから烏丸までバッテリー補充に向かう。しかし、まさかの補充先の駅構内のローソンは21時閉店だった。これまで駅構内のコンビニの閉店時間を気にしたことはなかった。補充ができないので、御池通りのコンビニまで補充にいく。さらに五条通まで今度は回収に向かう。今日の回収分だけで、明日の補充ノルマの5個回収できた。やはり週末はチャンスが多いな。

 

食欲をなくした彼女にアイス買ってきてと言われたので、話を聞いてもらったお礼とお詫びも兼ねてハーゲンダッツを買って帰った。そして、いまアニメ『ハイキュー!!』の劇場版をやっているので、ふたりでアニメ最終話から2話分を復習する。明日ふたりで映画を観にいくのだ。わたしは『ハイキュー!!』を見ると泣いてしまうので、今回も涙が止まらなかった。

 

明日も楽しみだー!風呂に入って、前日の日記を書いていなかったので、書いてから就寝。