いぬのいる島

日々、散歩しては迷っている

6月2日(火) 「ロープワーク発作」と危険な美顔ローラー

 
 緊急事態宣言が解除されて仕事がはじまったので、自粛中の暇に飽かして書いていた日記の更新が止まってしまった。毎日の日記をつける習慣は、ここ3年間くらい継続しているので、書いていないわけではないけど、ブログに上げる際にちょっと手直ししているので、もとの生活リズムに戻ると、その時間がなくなってしまった。
 
 
 今日は朝から出勤だったので、うんうん唸りながら起きる。コーヒーを淹れて、日曜日に大丸のデパ地下で買った美味しそうな食パンを焼いて、コメダで買ったあんペーストを塗って食べる。同居人のAちゃんは「こんな時間かあ…」と呟いたままソファーに埋もれて動かなくなった。
 
 わたしは小さな映画館にバイトで勤めているので、京都の緊急事態宣言が解除された先月末から営業を開始してちょっと忙しくなった。映画館は座席を減らして社会的距離をとって営業しているし、お客さんもマスクをつけて見に来ているし、「他のお客さんと距離はとれますか?」という問い合わせも多い。しかし、寄付の申し出も多くて大変嬉しい。わたしも従業員のひとりである前に、この映画館や、そもそも劇場で映画を見ることを愛しているので、映画を映画館で見ることを大切だと考えている人が多いということを感じられる機会が増えて、がんばろうと思っている。
 
 今日はとても暑い一日で、京都の気温は31度に達した。場内も、外気を取り入れて常に換気をしているので、密室でクーラーをきかせるのと比べると暑かったように思う。バイト勤務を終えて、夕方、家に帰るまえに東急ハンズに寄って白色と茶色のロープを、1.5mずつ2本買った。わたしにはある発作がある。それは「ロープワーク発作」だ。要はロープの結び方を覚えたいという時期が年に1、2度起きる。その原因は、以前、工事の施工会社に勤めていたことで、会社の先輩や現場の作業員の人たちは様々な縄の結び方を知っており、ほとんど無意識に、適した場面で魔法のようにいろいろな結び方を繰り出すおじさんたちへの憧れがあるのだった。わたしが考える、かっこいいおじさんは「いろいろなロープの結び方を知っている」ということになるのかもしれない。このロープの結び方を「ロープワーク」と呼ぶらしい。キャンプする人は使う場面が多いのでよく知っていることと思う。そんな「ロープワーク覚えたい病」が年に数回起こるので、この自宅待機期間中に覚えようという算段だ。ロープワークを体得したときが、この発作の完治を意味するのだが、何年も覚えていないことからその成果は察してほしい。憧れは達成が難しいからこそ憧れなのだ。
 
 帰路にドラッグストアに寄ってアイスと缶チューハイを買って帰る。家に帰り缶チューハイを飲み干して、そのあとは汗だくになった体を流そうとシャワーを浴びていて、気が付く。牛乳を買い忘れた。上がってAちゃんにLINEして牛乳を買ってきてくださいと頼む。
 
 そのあとは髪を乾かして、夕飯をつくることにする。といっても味噌汁とジャーマンポテトは昨日の残りが冷蔵庫にあるから、あと1品くらい作れば夕飯の体裁は保てる。冷凍していた鶏モモがあったので、簡単に照り焼きをつくることにする。あとミニトマトを洗ってそのまま食卓に出す。Aちゃんも19時くらいに仕事を終えて、家に帰ってきた。夕飯にしてサッポロビールも開けた。NHKでサラメシを見ながら夕飯を食べる。鶏肉は美味しかったようなのでよかった。照り焼きのタレをご飯にかけて食べていた。その後、踊るさんま御殿とマツコの知らない世界を見てから、アイスを食べた。
 
 新型コロナウイルスで自宅にこもり、生活の仕方が変われば、普段外側に向いていた意識が、別の方向に向かうのが道理である。わたしが思うに、それはきっと自分の身体に向いたはずだ。特にひとりでいればいるほど、部屋のなかには自分の身体しか存在しないのだから。わたし自身、それはまず「体毛」に向かった。なんでこんなところに毛が生えているんだ?という疑問が突如自分のなかにたち現れて、引っ張ってみたり指先で転がしてみたりして、最後には引き抜いた。無心で引き抜いた。赤く腫れた。なにをしているんだ、わたしは。そこで、他の人に向いていた意識が自分に向いた結果なのだと悟った。そこから自分の身体に意識を向けた数日間を経て、今日ついにAmazonで頼んでいた美顔ローラーが届いた。先日Aちゃんに「美顔ローラー買おうかな」と打ち明けると、「わたしも使いたい」ということでシェアすることになった。それまであんまり美顔ローラーに興味がなかったので知らなかったけど、美顔ローラーは高い。いや、ピンキリなのだが、調べてみると調べてみるほど高いものを勧めてくるひとが多いこと。だからAちゃんもシェアを持ちかけてきたのか。でも知ってますか、3万円とか4万円とかするんですよ。驚いた。まあでも、この自分の体に向いた意識のベクトルをむざむざ手放すのは惜しい。ということで購入した。4千円くらいのやつ。だっていきなり4万円は無理だもの……。使ってみるとなかなか不思議な感触だった。気持ちいい、のか?取り扱い説明書を読んで驚いたのは、長く使用するのはダメだということだった。一日で同じ場所のローリングは三回まで。しかも一回3分まで。やりすぎたらどうなるのだろう。いや、この注意書きは効果のほどを裏付けているのかもしれない。好奇心は止められないが、同時に彼は猫をも殺してしまうそうだ。美顔ローラー、危険な香りのするやつだ。
 
 自粛生活もそれなりに楽しんでいます。